アウト*サイダー
横から伸びてきた手。リョウスケが反対側に来て「俺がやるよ」と、言ってくれたので彼の邪魔にならないように後ろに下がった。
「付き合ったことを別に責めてるんじゃなくてさ、ただ単に何でかなって思って」
話ながらもリョウスケは、いとも簡単に自転車を引っ張り出した。……あの、私の苦労は何だったのかな。
「実は、お前らが付き合うか、付き合わないかを言い当てようって、ダイが皆に言い出したんだ」
ダイなら言いそうだ。しょーもない事ばっかり言ってる万年ガキ大将みたいな奴なのだから。
「ダイはどっちだったの?」
「付き合う方」
はっはーん。だから、あんなしてやったり顔で茶化すのか。
「リョウスケは?」
出した自転車を自分の自転車の隣に置いてくれるリョウスケの頭を後ろから見上げる。真っ直ぐで、女の私でも敵わない艶々なキューティクルが眩しい。
「……付き合わない方」
低く呟いた彼が振り返る。予想もしていなかった返答に、何も返せないでいる私。嫌な予感がして、それを必死に打ち消す。リョウスケは私をじっと見つめて、そして、ふっと表情を緩めた。
「んな不安そうな顔しなくても良いって。ハスミが、ケイとは友達でいたいって前に言ってたから、俺はそうなんだと思っていただけだし」