アウト*サイダー
彼女は何も言わずに拾い集める。この状況を変だと思う私が変なのか。助けることもせず、あまつさえ、近くにいた女子がそれを足蹴にして嘲笑う。
やっぱり、変だ。
私は汚れたそれを拾い上げて、蹴った女子に差し出す。
「は? 何。急に」
半笑いで、けれど苛ついているように隣にいる友達に首を傾げて、私をじろじろと見ている。
「これ、あんたのクラスの分の課題でしょ。自分が汚したんだから責任取りなよ」
なるべく優しく言っているつもり。腹の中はとんでもなく怒りで一杯だが。
「誰か知らないけど、関係なくない? ていうか、うざいんだけど」
「私はそのあんたの態度がうざい。あんなガキみたいなことして遊んで、愉しがってるのを見せられて気分が悪い」
私は一生懸命怒りを抑えて微笑んでやってるというのに、相手は不機嫌にこっちを睨んでくる。可笑しいよね。声を出して笑いたいくらい。
しかし、睨み合う私達の後ろから現れた彼女が、私の手から課題を掴み取っていた。驚いて何も言えない私に、耳障りな声で笑う女子たち。
背の低い彼女は俯いたまま……
「私の、せいだから」
ぼそぼそと呟いて、集めていた課題の所に引き返していく。
「カッコ悪……」
「アイツ、ちゃんと立場弁えてんじゃん。笑えるわぁ」