アウト*サイダー
何度こんな場面に出くわしても慣れない。私はその場に立ち尽くして、何が間違っているのかを探す。
抱えきれないのに無理しようとする彼女も、それを無関心に見えないフリして友達と笑い合う人たちも、どれを見ても間違いだらけで気持ち悪い。
ふと、指先に違和感があって見てみると、細くて赤い線が出来ていた。紙で切ったみたいだ。どうでもいいけど。
このまま立ち去るのも後味が悪いから、せめて運ぶのを手伝おうとしゃがんでいる彼女に声をかけようとした。
「大丈夫? 手伝うよ」
しかし、私と彼女の間に突然入ってきた人物の存在で周りの空気が変わる。
さっきまで誰も見向きもしなかったのに、そいつが現れた瞬間に、皆が振り返って心配そうな目を向けていく。
堀江君が軽々と課題の束を持ち上げて「ここの教室に運べば良い?」と爽やかな笑みを浮かべる。暗い表情だった子も、僅かに頬を上気させてコクりと頷いていた。
彼が教室に入ると、一気に人が集まった。私はポツンと取り残された廊下で呆然とする。
何だコレ。
人気者はすごいねぇ。敵わないねぇ。嫌われものがしゃしゃり出たって、はじかれてしまうだけなんだな。よーく分かったよ。
一番の間違いの答えを見せつけられて、虚しさだけが残った私は、さっさと自分のクラスに戻ることにする。