アウト*サイダー
ケイと堀江君を思い浮かべる。確かに、裏があるような所は似ている気がして「ふーん、そう」と、同意ともとれるし、そうじゃないともとれる返事をする。
でも、ケイは堀江君みたいに嘘っぱちな笑い方はしない。中学生のケイがどうだったかは知らないけど。
廊下に予鈴が鳴り響く。それを合図にやっと解放されると安堵した。さあ、逃げよう、としたところで堀江君が呼び止めた。
「田口さんには田口さんの信じる道理があるんだろうけど、俺にも勿論ある」
下を向く堀江君の、僅かに見える躊躇う表情。
「田口さんがあの時助けなくても、俺は伊織さんを……」
「助けられたって言いたいの? その時はそうだったかもしれない。だけど、そのまま素直に守らせてくれたと思う? 私はそう思わない」
階段を上ってきて教室へと急ぐ子達が私と堀江君に異様な視線を送る。私は辟易して、早くここから逃げたい気持ちでいっぱいだ。
「堀江君がハルちゃんを好きだろうと何だろうと私には関係ない。それが本当だろうと、嘘だろうともね。でも、ハルちゃんには大事なんだよ。彼女自身が本当だと、堀江君を信じない限り、あんたは助けらんないよ」