アウト*サイダー

 教室にいると、私はとんでもない孤独感を味わう。いつもだ。

 例えば授業中に教師の小話が始まって、それを生徒達がつまらなそうにしながら、くすっと笑ってしまっている時とか。

 休憩時間にあちこちで友達と輪をつくって、それぞれが、それぞれの話題で盛り上がる声が混ざりあった騒音の中、黙ったまま黒板の上の時計を見つめている時とか。

 でも、それは嫌なものではない。

 誰も私に構わないから、私は誰も構わなくてもいい。そうやって誰かと接しなければぶつかることもないし、それで傷付くこともない。

 けれど、その孤独は教室という空間では異質なものだ。

 異質な子は、他の子から嫌われる。

 孤独は嫌われ者。

 だから、私も嫌われ者。

 一つの場所に固まった沢山の目が私を睨んで、そこへ入ることを許さない。

 教室が嫌い。

 私を嫌っているから。

 そこでは息がしづらい。目には見えないけど、水の中なのではないだろうか。皆が平気そうに出来るのは、特別な呼吸の仕方を知っているのだ。きっと、そうだ。

 誰も私に教えてくれない。

 私は溺れる。

 そこから逃げることも許されない。でも、もう息が出来そうになくて、私は逃げた。
< 261 / 466 >

この作品をシェア

pagetop