アウト*サイダー
早くも我慢大会になり始めたが、膝に頭を乗せて目を閉じた。
電車が走る音が一定の間隔で聞こえてくる。すぐ近くでは、蝉の声がずーっと鳴いている。車が走り去っていく音がたまにやって来て、学校側からはプールの授業をする笛の音や拡声器で喋る先生の声がした。
あーあ。このままずっとサボれたら良いな。
私を誰も嫌わない、私も誰かを嫌わない。
足に回した腕に力を込めた。
『協力者が必要なんだ』
そんなこと言われたって、分からないんだよ。私はどうすれば良いの。私に出来ることなんて、結局ないじゃない。
相手は周りに見つからないように、さも仲が良いようなふりしてハルちゃんを傷付けて。
訴えたところで、周りからは私が言いがかりをつけているだけにしか見えない。
新たな噂が生まれて、面白がられる。
私が声をあげればあげるだけ、周りの目は、声は、高い壁をつくっていく。
『ハスミが悪いんだよ、全て。お前が俺を怒らせたんだ』
すがり付いた私の腕を、彼は汚らわしいものにでも触れられたようにして振り離した。その時、中学三年の二学期から卒業するまでの地獄のような日々が始まった。
事実とかけ離れた噂が広められ、学校中に渡り歩き、私一人ではどうすることも出来なかった。