アウト*サイダー

 助けを乞うことも出来たかもしれない。

 でも、僅かに残ったプライドを保つには、それは自滅行為と同じだった。

 周りの大人にも、親にも、私の口から“あれ”を言うことは。

 唯一、一緒に居てくれたトクラさえ知らない事実。

 腕に食い込む爪。

 汗ばんだ額が気持ち悪い。

 顔を上げて、背もたれに体を預ける。パラソルを見上げたら、その端から飛行機雲がすぅっと伸びていた。

 同じ中学校の子がほとんどいない学校に来さえすれば良い……なんて、甘い考え。どこにいたって、どこに逃げたって同じなんだ。

 しんどいな、色々と。

 大人になれば平気になる。大人になれば強くなる。大人になれば。そう思い続けて小学校も中学校も卒業できた。

 でも、高校に入ってまた始まった。私はまた大人になればと信じて堪えるしかないのか。自分と違って、上手く周りに順応する子達を羨んで。

 勉強みたいに答えがあったらな。

 間違いを見直して、きちんと用意された答えを出せるようになって、新しい問題もその応用を用いて解いていけるようになるのに。

 メーデー、メーデー、メーデー。

 遭難信号、どこに出せば良いのかな。

 メーデー、メーデー、メーデー。

 とりあえず、私がまた立ち上がれるように、今は一回休みのマスで待機だ。
< 264 / 466 >

この作品をシェア

pagetop