アウト*サイダー

 ただぼんやり空を見上げているだけだと、時間の感覚がおかしくなってくる。

 暑さで脳みそ溶けちゃったかも。喉も渇いた。体を動かすのも面倒くさい。とにかく暑いな。

 眠たくもないのに、瞼が閉じる。そういえば何だか頭がふらふらしてる。ちょっとした危機感。ヤバいな、ここにいたら。

 左手でこめかみを押さえて、ベンチに置いたままだったスマホを右手で探る。それを持ち上げようとして、誤って下に落としてしまった。

 拾う気になれない。もう、いいや。足を投げ出して、だらしなくズルズルと体をずり落とす。

 瞼が重く、景色が霞む。パラソルの影からはみ出た足が太陽に晒されて、スカートとクルー丈ソックスの間に見える青白い肌が余計に白くなり、輪郭がぼやけた。

 だから、腕を掴まれ首筋に冷たい何かを押し当てられても咄嗟に反応が出来ず、ビビりな心臓が早鐘を鳴らす。

「馬鹿ハスミっ!! こんなとこで何してるんだよ!」

 掴まれていない手で胸を押さえ、鳴り響く鐘を落ち着かせる。見上げた先には肩で息を繰り返すケイの怒った顔があった。

 それにしても、馬鹿だなんて失礼な奴。文句を言ってやりたいのにカラカラな喉からは何も出ないし、見上げていると目眩が酷くなって辛い。

 彼はため息を吐き、私を抱えあげてベンチに座り直させると、あてがっていた冷たいもの……スポーツドリンクのキャップを開けて、口元に近付けた。

「とにかく、これ飲んで」
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