アウト*サイダー

 保健室から教室までの道すがら、リョウスケが一人でぺらぺら喋る。

 授業を飛び出した時のケイのこと、私が熱中症にかかったと聞いて、自分がどれだけ心配したか。そして……

「でも、何で外に居たんだ? それも授業中に」

 たどり着く疑問。

 向けられる二つの視線は、どうも私を逃がしてくれない。

「サボりたくなる時だってあるじゃない? それだけだよ」

 保健室から出てすぐ、リョウスケからもらった食堂の惣菜パンが入った袋を覗き込んで「あ、カレーパンだ」と話をそらす。

「そうなんだよ! ハスミの為に一肌脱いだんだぜ」

 お礼を言うと嬉しそうにリョウスケが頬を綻ばせた。カレーパンの香ばしい匂いに食欲がわいてきて、歩きながら食べる。ちょっと冷めちゃってるけど、美味しさは変わらない。

 舌鼓を打つ私に、依然としてケイからの視線が痛いほど刺さっている。

 困ったなぁ、となるべくそちらを振り向かないようにして歩く。二人のクラスの前に来た所でダイが教室から出てきて、私を見や否や、すっ飛んできた。

「おぉぉい、大丈夫なんかーっ! 今にも死にそうな状態だって聞いてたのに……呑気にカレーパンかじってる場合じゃないやーい!!」
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