アウト＊サイダー
* 意地
自転車通学というものに憧れていた中学生の頃。
大人びた高校生が綺麗な髪をなびかせ、お洒落な制服のスカートが風を受けながら追い越していく、その姿にドキドキした。
そして、電車通学にも。
滅多にない遠出でしか乗らない電車。ホームではたちまち迷子と化す。
そんな私が天気の良い日には自転車を優雅に走らせ、雨の日には慣れたように電車に乗って登校するようになって思ったのは、憧れとは憧れている時が最も素敵なものだということだ。
寝坊なんてしたら優雅とは真逆で汗だくになってペダルを漕がなきゃいけないし、雨の日の通勤ラッシュなんてジメジメ、ギュウギュウで気分は最悪。
結局、徒歩五分の中学校を羨ましく思うんだ。
「ハスミ？ 電車来たよ」
感慨に耽っていた私の耳に届いた声で現実に戻る。電車通学だと言うケイと並んで立つホームに電車が入ってきて、強い風が私の髪をもてあそんだ。
