アウト*サイダー
学校から出て、ひたすらに間違ったデートに関する情報を払拭させるべく教えを説く私の努力の甲斐があり、駅に着いた時には高校生はレストランを予約しないし、ホテルに行くのも可笑しいのだと理解してくれた。
「健全なるお付き合いには不要だからね」
「ふーん」
駅の前で立ち止まる。手で自転車を押しながら歩いていたし、喋りながらだったので結構な時間が経っていた。引き留めるのも悪い気がして、私は「じゃあ、バイト頑張ってね」といつものように手を振る。
自転車に跨がって走り出そうとした……のに、急に荷台の方に負荷がかかって走り出せなかった。
後ろを見れば、ケイが平然とした顔で荷台を掴んでいた。
「何?」
やっぱ頭のネジがぶっ飛んでいたのか。
怪訝な表情を向けても、彼の所だけ気温がマイナス五度なのかというくらい涼やかな笑みを浮かべ、断りもなく荷台に座ったかと思えば……
「じゃあ、ハスミは俺とキスもハグもセックスもしたくないの?」
「い、いきなり、何をっ……!?」
ただでさえ暑いのに、恥ずかしさで更に熱くなって、昼間のハルちゃんではないけれど、頭から湯気が出てきてしまいそうになる。
「だって、そういうことだよ。健全なお付き合いって」