アウト*サイダー

 さっきのアンポンタンで可愛いボクちゃんなケイは何処へ?

 彼のこういう豹変は本当に心臓に悪い。私、いつか心臓を悪くしてしまう気がする。

「でも、もう無理じゃない?」

 ケイが楽しそうに目を細めた。

「えぇ?」

 私は疲れきった老婆のような声しか出ない。

「ハスミと俺、キスもハグもしちゃってるから。これって不健全なお付き合いでしょ?」

 害の無さそうな笑顔で私の腰に手を回す。私が身動き取れないのを良いことに、ケイはより体を密着させるようにして私の肩に顎を乗せた。

「……じゃないと、俺、ハスミの特別になれない」

 体温の高いケイの熱が伝わってくる。彼には私のうるさい心臓の音が聞こえているだろう。

「ケイ、まだ拗ねてたんだね」

 彼の腕に触れると、離されると思ったのか少しだけ力が入った。それを安心させるように、優しく撫でる。

「別に。自分で言ったことだから。ハスミが友達とばっかり笑ってても、俺が居なくたって全然楽しそうでも、別にいい」

 モゴモゴとはっきりしない口調は、もはや小さい子がお母さんに構ってほしい時のそれと同じだ。
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