アウト*サイダー

「ケイにとって私は特別?」

 ケイは迷いなく「もちろん」と言った。

「それはキスやハグや……とにかく、そういうことをする為だけの特別?」

 あえてはぐらかしたのに「セックス?」と言ってくる辺りが性格の曲がり具合をよく表している。

「俺にとってハスミはそんなんじゃない。確かに、下心が全くないなんて言えないし、上手く言葉に出来ないけど、ハスミじゃないと駄目だってことは分かる」

 抱き付いていたケイの腕が緩んで、肩に乗せられていた重みが離れる。ようやく振り向いて、彼と顔を合わせられた。

「じゃあ、ケイを信じる」

「信じる?」

 訝しげに眉間にしわを寄せる。彼は考える時にこうやって気難しそうな顔をするみたいだ。

「私はいつも知らない人とか、知り合ったばかりの人はみんな同じように疑うの」

 私の性格が悪いんじゃないよ。一種の癖みたいなものだ。

「嫌いになるわけじゃなく、疑うの」

 まだ私の話の意図を分かりきっていないケイの困惑した顔を、もう少し見ていたくて「よく言うでしょ、刑事は疑うのが仕事だからなって」とからかってみる。

 なのに、ケイは何かを思い出したように「初めて会ったときも、確かに怖い顔してた」合点がいったみたいなスッキリした顔になった。
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