アウト*サイダー
* さらけ出して
終業式の為、体育館に集められる生徒。冷房も何もなく、窓や扉を開け放たれただけの体育館に風が通るわけもない。居るだけで汗が流れ落ちる。
目にかかる長さの前髪が額を覆っていることでさえ暑苦しくて、片手でまとめて頭の方へ持ち上げた。
「ピン、貸そうか?」
前にいた須賀さんが振り返って言った。その前の篠田さんもこっちを見て「暑いよね、早く終わんないかなぁ」シャツの襟元をぱたぱたさせる。
「ううん。大丈夫」
髪から手を離して額にかからないようセンター分けにしてみる。それだけで景色が広がったみたいに明るくなった気がした。
ずっと前髪をつくってきたけど伸ばしてみようかな。分けた前髪を須賀さんが手櫛で綺麗に整えてくれて、篠田さんは「お、いいね、なんか大人っぽくなった!」と言い、手に持っていた携帯で写真を撮ると、それを見せてくれた。
ありゃま、写真映り悪いな、ほんと。
「そういえばさ、ハスミンの連絡先知らないから教えてよ。ついでにこの写真送ってあげる」
篠田さんに促されるまま教え合って、須賀さんとも交換する。その二つの新しい連絡先を眺めて、ちょっと上機嫌。
壇上に教頭先生が上がって、周りにいる先生達が喋っている生徒に注意をして回る。
もう、夏休みだ。