アウト*サイダー

 些細なことでも、それが好きだと感じるのは、ケイだからだと思う。

「嫉妬深かったり嫌なところもあるけど」

 ハルちゃんも見に覚えがあるのだろう。何とも言えない顔で笑う。

「それ含めて好きだなって」

 聞き入っていた彼女が、感動したように手を合わせて私を見つめる。私は何を語っているんだと正気に戻って、恥ずかしさと格好悪さで、この場から逃げ出したくなる。

「ハスミちゃんを、こんなに乙女にさせるのは宮永君だからなんだね!」

 乙女そのものの可愛い微笑みを向けるハルちゃんを直視出来ない。

「それに最近すごく可愛くなった気がする! 前髪分けてるのも似合ってるよ」

「そ、そう?」

 褒められると素直に嬉しい。ただ、小恥ずかしいのが拭えないけれど。
 
「ずいぶん楽しそうだね」

 後ろから聞こえた、皮肉を込められているような声。ハルちゃんは彼と目が合っているのだろう。毎度のことながら顔を茹でさせている。

「あらあら、まぁまぁ、堀江君じゃないの。私に嫉妬してるの?」

 振り返って、あくまで友好的な笑みを浮かべる。堀江君の口元が一瞬だけひくついた。どいつもこいつも、嫉妬深いにも程がある。

「田口さんと話すのも面白いけど、俺は伊織さんに用があるんだ」
< 308 / 466 >

この作品をシェア

pagetop