アウト*サイダー
興味ないとばかりに私から目をそらす彼が、優しい笑顔をハルちゃんに向ける。マイエンジェルを惑わす彼は嫌いだ。だけど、その笑顔だけは嘘じゃないと思うから協力してあげる。
「堀江君、どうしたのぉ? あ、私と一緒に食べない? ここじゃ、人がいっぱい居るから移動して、二人きりで……」
さっそく、近付いてきたお邪魔虫さん。ハルちゃんは河西さんと目を合わせないように俯く。
「河西、悪いけど食べた後だから」
堀江君は笑いながら警告する。
「えー、じゃあ……部室に行こう! 練習前のストレッチ、手伝ってあげる」
河西さんは自分と彼が親密であると周囲に見せつけるように堀江君の腕に絡み付く。
彼女が堀江君との温度差に気付かないのは致し方ないだろう。今まで、彼に存分に甘やかされていたのだから。気に入らない子をストレス発散に虐めるのを止めるさせる為だけだったけれど。
「……分からないかな? 俺はお前のこと嫌っているって」
まさかの発言に、教室中が固まった。とうとう本性を晒してしまった彼に、私は違った意味で焦る。
ハルちゃんにまで知られて、引かれてしまったらどうするんだ。怖がられ、しまいには嫌われてしまうかもしれないのに。