アウト*サイダー
河西さんは狼狽えながら「何の事?」としらを切る。後ろにいる河西さんの友達は顔面蒼白になっている。
「これ見せれば、馬鹿でも分かるだろ?」
携帯を出して、その画面に映るものを彼女に見せた。それは、河西さん達からハルちゃんに送られた、おびただしい量のメッセージだ。
ハルちゃんもそれを見て、私に目を向けた。
「これを教えてくれたのは堀江君だったの」
勝手にごめん、と謝る私にハルちゃんは複雑そうな顔で首を横に振って私の手を握る。冷たい手だった。
「そ、それは、悪気があった訳じゃないの。そうよ……悪気があるのは伊織さんじゃない? こうやって堀江君に構ってもらうためにしたんでしょ! 私を悪者みたいにして。堀江君と仲が良いのを妬んでるのよ!!」
「それはアンタでしょーが」
この期に及んで自分を守ろうと必死な彼女の逃げ道をつくらせてなるものか。
「このメッセージを見たら、誰がアンタの味方をしてくれるだろうね。私だったら、絶対なりたくない」
私の携帯にも映し出されたそれに、河西さんの表情が変わった。
「いいえ。それは私じゃない。伊織さんが自作自演したのよ。そうじゃなかったら、本人が直接言うはずじゃない。止めてほしいなら、そう言うはずじゃない」