アウト*サイダー
何を言い出すのかと反論しようとする私に被せて、河西さんは目を潤ませて「私じゃない!」と叫んだ。
「堀江君や田口さんに、あたかも私に虐められているような証拠を見せつけて、私を陥れようとする悪魔みたいな子! そんな子だなんて知らずに伊織さんを信じて、友達だと思ってたなんて……!」
なんて白々しいんだ、こいつは。悪魔はお前自身だぞ、コンニャロー。
顔を覆い、肩を大袈裟に震えさせる河西さんに、怒りが頂点まで来た私は拳をつくるが、「分かったよ」落ち着いた声で言った堀江君に矛先が変わる。
あんな嘘泣きに感化されるなんぞ、お前の目は節穴か?
「これは消すよ」
堀江君が何やら操作して、私が送ったメッセージのスクショ画像に『消去しますか』の文字。彼は躊躇いもなく、皆に見せるようにして画像を消してしまった。
「な、何を……!?」
大事な証拠を簡単に消すとは思ってもみなかった。疑うように彼を見る私を、堀江君が振り返る。
「田口さんのも消してくれる?」
私は守るように携帯を握り締める。河西さんを見れば、その口元が僅かに緩んでいた。
「田口さん、お願いだ」