アウト*サイダー

 お願いとは? と、言いたくなる彼の顔。まるで、そうしなければ痛い目見るぞと言わんばかりではないか。

 けれど、ハルちゃんがこのまま悪く言われるのは不本意だ。……決して、びびったんじゃない。

「分かったわよ」

 堀江君と同じように見せながら画像を消す。ありがとう、とムカつく顔で微笑む堀江君を睨んでやる。

「もう、こんなこと止めてね? でも、良かった。堀江君が私を信じてくれて」

 とびきりの笑顔で、堀江君に一歩近寄った河西さん。しかし、彼女から血の気が引いていく。

 彼が纏う、とてつもない空気……およそ誰も知らないであろう彼の負のオーラとでも言うのか、容易に近付くことを許さないものが伝わってくる。

「誤解しないでほしい。俺はお前に何の興味もないし、お前の隣に居るだけで疲れる。もはや、吐き気を催し、人体に害を有するレベルだ。はっきり言って迷惑なんだよ」

 はっきり言い過ぎて、逆に笑ってしまう。うん、笑うしかないよ、もう。怖いよ。これだけの本性を隠しながら、ずっと笑っていたなんて。

「ほ、堀江君……?」

 ほら、さすがの河西さんだって、変貌ぶりについていけてないじゃん。この場に居合わせた全員が恐怖に身をすくませてるよ。

「俺は伊織さんの味方だ。だから、伊織さんが河西にされてきたことを公にしたいと言うなら、それをサポートするし、全部なかったことにしたいなら、俺も何も言わないで黙る」
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