アウト*サイダー

「だから、私にやったことを言いふらしたりしない。でも……」

 ハルちゃんは携帯を出し、開いた画面に映ったものを見せつけた。

「なかったことにもしない。これが残されている限り、いつでもアンタ達を吊し上げられる」

 まさか彼女の口から、吊し上げなんて言葉が出てこようとは。

「は、はぁ!? そんなの、あんたが偽造したって言えば……」

「画像を偽造すれば、その跡が残る。調べれば、すぐに分かる。これを学校側か、もしくは外部の弁護士なりに渡せば、この……人権無視も甚だしいメッセージが名誉毀損罪か侮辱罪、もしくは人権侵害罪に該当する」

 言いくるめられている河西さんは、悔しそうに顔を歪ませる。ハルちゃんは微笑みを絶やさない。

「言っておくけど、私の親は私に甘いから裁判のお金だって惜し気もなく払ってくれる。どちらが勝つかなんて目に見えてるけど、ね?」

 静まり返った異様な教室。誰も喋り出そうとしない。

 この膠着状態がいつまで続くのか、と身動きもできないで固唾を飲んでいたが……一人だけ、異常な奴がいた。

 初めは遠慮がちに。しかし、それはだんだんと大きくなって、最終的には口を開けて笑っていた。
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