アウト*サイダー
「昨日ね、私……堀江君と喋れたの!」
朝、登校してきて眠い目をこすりながら席に座った私に、ハルちゃんが興奮した様子で駆け寄ってきた。
今日は昨日の雨が去って晴れ渡っている。私の心は曇りだけれど。
「へぇ! 良かったね、ハルちゃん」
嬉しそうに頬を赤く染める彼女は恋する乙女だ。みずみずしく咲き誇る花のよう。
対して、私は渇いて花を咲かせない蕾のまま。
「雨が降りだして、サッカー部の練習が途中で切り上げになったの。私、折り畳みの傘をいつも持ってるんだけど教室の方にも置き傘してたから取りに戻って帰ろうとしたらね」
昨日の別れ際のこと、ケイは怒ってるかな。
「堀江君が昇降口の所にいて……もしかしたら傘ないのかなって。それに、周りに誰もいなくて、こんなチャンス二度とないかもって、だから勇気を出して話しかけたの!」
いや、でも私には関係ないか。彼が怒っていようがなかろうか。