アウト*サイダー
* 好きなもの
快晴が続き、日に日に暑さも増す今日この頃。
テレビでは最高気温がどうやら、熱中症がどうのと騒がしく、それに負けじと蝉が勢力を拡大させて声を轟かしている。
駅前の大型ショッピングモール。その、駅からたった数メートルの距離でさえ煩わしく、人混みを早歩きで進んで店内に入った。
じりじりと肌を焼く温度と蝉の声がシャットアウトされ、額の汗を拭いながら溜め息を吐く。そこへ……
「ハスミちゃん!」
どこの天使が舞い降りたか……と、思ったら、マイエンジェルだ。女の子らしいシフォン素材のワンピースをふわふわさせて私に駆け寄ってくる。
その微笑みに、近くにいた狼共が邪な視線を寄越していた。
汚らわしいそれらから守るべく、私はハルちゃんを抱き止めて、警戒の目を光らせる。
「は、ハスミちゃん……?」
そそくさと散っていく狼野郎を一匹残らず見送って、やっと彼女から離れた。
近くで見ると、より一層輝いて見えるハルちゃんは、まさに女神だ。
「ホンマかわいいやっちゃで!」
「何故、関西弁?」
おっと、あまりの可愛さに我を失ってしまっていた。
「……と、とりあえず、先にお昼食べに行こうか?」