アウト*サイダー
そう考えるとしっくりくる。ハルちゃんの可愛さだけに惚れた人は隠れた棘を見た時、勝手に幻滅するかもしれない。そんなの理不尽だけども。
しかし、その点、堀江君は彼女の棘を知っても気持ちが揺るがなかった。逆も然り。
「わ、私の、話しは別に良いよ! それよりもハスミちゃんの事でしょ」
トマトソースよりも真っ赤な顔をしてパスタを食べるハルちゃんに笑いが抑えられない。あぁ、どうしてこうも可愛いのかな。
「ん? あぁ……何度も言ったけど、デートって言っても映画観るだけだから着飾る意味なんてないよ。それに、気合い入れすぎるのも恥ずかしいし」
肩を竦めて半笑いで言った瞬間……彼女から物凄いオーラが発せられた。固唾を呑む私に、ハルちゃんはキッと鋭い眼光を向けた。
「デートだよ? 初デートなんだよ? 意味? 恥ずかしい? それがなんぼのもんじゃい。絶対、Tシャツにジーンズなんて格好しちゃ駄目だから!」
今、まさに駄目な格好をしているのを指摘され、私は困惑する。
「え、でも……ほら、可愛いでしょ? このワンポイントの柴犬が」
無地の白Tシャツに刺繍された柴犬が一匹。私の夏服は大体がこんな感じだから、これを否定されると着る服がなくなってしまう。
そんな私の内情を見越していたかのように「だから、ここに呼んだんだよ」溜め息混じりに言ってフォークを置くと、私の手を握り締めた。
「大丈夫。私に任せて!」