アウト*サイダー

 お店の喧騒の中でも、彼の真っ直ぐな声がはっきりと聞こえた。そして、お決まりのように私の耳が熱を帯びる。

「ハスミ?」

 何も答えられないでいる私を心配したケイの顔が近付き、私の頬に彼の長い指が触れた。

「……今度はどうやって冷たくあしらおうか考えてた所。要望があれば聞いてあげるけど?」

 細めた目が優しく私を見つめる。

「可愛い。ハスミをこんなに可愛くさせられるのは俺だけだから、俺以外には見せないで」

 頬にあった指がするすると移動して髪に触れ、それを耳にかけようとする。

 きっと赤くなっているだろう耳に触られて、びくりと体が反応してしまった。

 これ以上ないって程に恥ずかしくなる私とは対照的に、面白がってクスクス笑うケイに恨みの込もった目を向ける。

「いい気になってると後で痛い目あうからね?」

 冗談でも何でもないのが伝わったのか、私の方へ前のめりになっていた体を元の位置に戻して、大人しくコーヒーを喉に流し込む。

 そんなケイの姿に満足して、私も残っていたパンケーキを堪能した。
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