アウト*サイダー

 恥ずかしいのを我慢して言ったのに、ケイは頭を抱えてしまった。

「ケイが思うより、私はケイのこと好きだよ」

 嫌がってるというより、照れている。だから、ここぞとばかりに恥ずかしい言葉を伝える。

「大好き。ねぇ、聞いてる?」

 手で隠しきれないほど赤面しちゃってるケイが可愛くて可愛くて……とにかく可愛すぎる!

「俺、ほんと一生分の運を使い果たした気分なんだけど」

 んな、大袈裟な。

「だってさ、物陰からハスミを見つめるしか出来なかったのに」

 はい?

「それが俺に笑いかけてくれるだけじゃなく、俺のこと好きになってくれるなんて。今でも夢なんじゃないかって怖くなる。目が覚めたら俺の存在なんか認識もされてない関係に戻ってしまうんじゃないかって」

 顔から手を下ろして現れたのは、とんでもなく甘い笑顔で、幸せに満ち溢れた表情だったから聞き逃しそうになったが、冷静に考えて……私は、ふと首を傾げた。

「ずっと気になってたんだけど、何がきっかけで私のこと好きになったの?」

 物陰から見てたって、軽くホラーじゃない?

 付き合ったから最終的には良かったけど、最悪の場合、ストーカーみたいになってたかもしれないってこと?

「……俺たち、高校に入る前に知り合ってるんだ」

 全く記憶がない私に、ケイはいじけ顔を向ける。

「思い出してくれるまで教えないから」
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