アウト*サイダー
高校に入る前に?
全然覚えてないなぁ。ケイみたいに目立つ風貌してたら忘れそうに……あるか。そもそも人の顔をよく見ない。覚えようとする頭もない。
せめて、ヒントがあればな。
「中学生の時ってことでしょ? 何年生だった?」
「三年生。それ以上は言わない。自分で思い出して」
よっぽどの出会い方をしたのかな? 何一つとして覚えていない私を見て恨めしい表情をしてしまうくらい、彼には印象的だったらしい。
しかし、中学校の思い出にあまり良いものがない私は、思い出そうにも別のものが顔を出してくる。
必死に感情を押し殺して息を潜めるしかなくて、それでも私を苦しめる人達の歪んだ顔。
泣き言をぽろっと出してしまえば負けてしまう。常に気を張っていなければならなかった。
彼等の笑い声は今も耳にこびりついてる。
それから、初めて誰かを自分の手で傷付けてしまった感触も。
彼等にされた仕打ちを考えれば、一人二人殴ってしまっただけで消えない罪にはならない。それでも私が私を許せないのは、奴の思い通りになってしまったことだ。
あいつは私を独りにさせたがった。
嫌がらせをして楽しむでもなく、暴言を吐きたいのでもなく。
あいつは怒りで我を忘れて狂う私を見たがった。
一人だけ高みの見物をして、苦しむ私を嘲笑った。