アウト*サイダー
お願いだから止めてよ。
もう、許して。
「ハスミは大の男好きで、誰にでも脚開くような女だからさ。俺はそういうハスミ嫌いじゃないんだけど、潔癖な奴は嫌だろうな。あんたも嫌なら他の女見つけた方が良い。それか、それが目当てだった?」
そうやって、また私を苦しめて、どん底に突き落とすんだね。
離れても、イツキにとって私という存在はどこまでも疎ましいんだ。
出会った頃、惹き付けて止まなかった笑顔は、いつの間にか思い出すことも出来なくなっちゃったよ。
「イツキ、もう止めろ。お前は……っ」
カナトの言葉が不自然に途切れた。
「行こう、ハスミ。おいで」
ケイの手が私の頬に流れる涙を拭って、手を握った。出口へと引っ張ってくれるけど、私はその場を動かない。
「ねぇ。これで満足でしょ、イツキ。それとも私があんたの目の前で死ぬまで気が済まない?」
霞む視界ではイツキの表情は見られない。けど、それが逆に良かった。
「……違うか。私が生きてようが、死んでようが、どっちでも良いんだろうね。でも、私は何度も願ってたよ。イツキが明日死んでくれますようにって」
泣きながら笑う。出来る限り陽気に、馬鹿みたいに明るく。
「まぁ、もう何とも思ってないけど。だから、どうぞ、そのまま勝手に生きていて」
あの頃、あんなにも堪え続けた涙が流れて、溜めていた言葉を吐き出させた。
私は負けた。でも何と勝敗をつけようとしていたかは忘れた。ただ負けたくなかった。
私は、何一つ間違ったことはしていなかったから。