アウト*サイダー
「まさか、ハスミと二人でランチデートするとは思わなかったな」
「デートではないよ」
食堂は食欲をそそる匂いと生徒達で混み合っている。
言い出したのは私だし、あの後しつこく正解を求められて“仕方なく”ハルちゃんが同じ部の友達とお昼を食べる日にケイを誘った。
食券を買う人の列に並んで、隣のケイに目を向ける。
あの後……あの一緒に帰った後、ケイは何もなかったように、今までと同じ彼だった。私がしていた心配……ギクシャクしたり、急に態度が冷たくなったりすることはなくて、私は安堵している。
そして、それをまた確かめるように彼の横顔を見る。
「ハスミ、何食べる?」
食券の順番が回ってきて、ケイが私の方に顔を向けた。私は彼から目を逸らしてメニューを見上げた。
わざとらしくなかったはず……なんて、気にするとか私らしくないな。
「オムライス」
「じゃあ、俺も」
ケイが自分の財布を取り出すから「いや、私が」と止めようとしたら、後ろに並んでいた男子に「早くしてよ」と急かされて、結局彼に奢らせてしまった。