アウト*サイダー
「ああ、違うよ、ハスミ。聞きたくないって言うのは、つまり……何となく……ハスミと彼の関係が特別だったような気がして、怖いんだ」
「怖い?」
首を傾げる私にケイは困ったように笑って、繋いでいる手にもう片方の手を乗せた。
「二人は付き合っていたんじゃないか、俺を捨てて彼の所に行ってしまうんじゃないかって」
「そんなこと有り得ない! 付き合ってなんかないし、私がケイを捨てる訳ない」
ケイに誤解されたくない。不安にさせたくもない。
「イツキは私のことを誰よりも嫌ってた。私も、あんな奴とは二度と会いたくないと思うくらい嫌いなの。さっきも見てたでしょう? あいつが私を見る目はいつだって冷たかった。学校中から後ろ指を指されるようになったのも、あいつが根も葉もない噂を流した所為だったんだから!」
興奮して捲し立てる私を落ち着かせるように、彼の手が私の手を撫でる。
「うん、分かった。ごめん、辛い事を思い出させて」
徐々に落ち着きを戻して首を横に振った私に、彼が優しく笑う。
「他に、酷い事とかはされてない?」
駅に着いて扉が開く。一人、二人と降りていった。空はいつの間にか黒色に染まろうとしていた。