アウト*サイダー
家へと続く一本道をケイと肩を並べて歩く。
今日、家から出て歩いた時は足が軽かったのに、今は凄く重いな。
風も吹かない、じっとりとした暑さが体を包む不快感に眉を寄せた。
『他に、酷い事とかされてない?』
言うべきなのか、言わざるべきなのか。
私が逡巡して口を閉ざしている間に駅に着いて、結局その話題が終わってしまった。
こうしてる間にも家に近付いている。
隠せば、なかったことにならないかな。
綺麗に、何もかも。
『俺と出会う前に泣いた分も、泣いていいよ』
……いや、本当は分かってる。隠したって、どうせ言わない罪悪感で苦しくなるのは目に見えているし、こうやって悩んでいる時点で、自分がどうするべきなのかは分かっているんだ。
それでも、どう伝えれば良いと言うのだろう。
「ハスミ?」
無意識に足が止まっていた。道の真ん中で呆然と立ち尽くす私を振り返った彼の笑顔が……その私だけを見つめてくれる笑顔が大好きなのに、今は私の心を責めて、見ていられなくさせる。
「ごめん、ケイ」
「ハスミ……?」
戸惑う彼が私の元へ一歩、歩み寄った。
言わなきゃ、と思えば思うほど、言いたくない気持ちが私の喉を締め付けた。