アウト*サイダー
「ちょっと……!?」
「先に煽ってきたのはそっちだ」
至近距離で睨み合う。けど、それは自然と近寄っていて、気付けば唇が触れ合っていた。
彼の首に腕を回せば、彼は何故か不機嫌そうに唇を離す。
少し驚いて困惑する私を見て、やれやれと言った感じのケイが突然……
「ひゃっ!? 何するのよ!」
スカートの裾を掴んでいた。慌てて抗議する私の口を防ぐようにキスするケイ。何がなんだか分からない私は固まったままだ。
足に触れる彼の手を、どうしても意識せずにはいられない。中に入ってこないとしても丈が短いからお尻に触れてしまうのではと焦る。
そんな私の心情を見透かした目が細められた。ドキドキと動揺する私を面白がるようにリップ音を鳴らしてケイが離れる。
口を手で覆って批難の目を向けていると、彼に掴まれていた裾がぐいっと引き下げられた。
「俺に見せるのはいくらでも見せてくれて良いけど、外では気を付けてね」
恥ずかしさでポカポカと叩く私を、彼は余裕の笑みで受け止めている。本当に生意気な奴!
「でもさっきのは嫌いじゃないよ? 俺、拘束されるのが好きなのかもしれない」
「耳元で囁かんでよろしい!」
彼の体を押し退けて私が駆け出すと、後ろからケイが「待ってよー」とやる気のない声を出す。
私達の笑い声だけが、誰もいない道を通っていた。