アウト*サイダー
「遅いわよ、十分遅刻」
夏休みに入って昼夜逆転した生活に慣れ始めた私にとって、十一時集合はキツイ。それに暑い。天高く降り注ぐ太陽の熱が容赦なく人々を攻撃してくるではないか。
「へい、すんまへん」
おどける私に、冷たい視線を寄越す。私は大人しくトクラの向かいに座った。
「先にドリンクバーとポテト頼んでおいたから」
いつものメニューだ。タイミングよくポテトが運ばれて来る。私は飲み物を取りに行く。
とにかく喉が渇いているから、お茶と水をそれぞれのコップに入れて席に戻った。
「あら、ハスミにしては気が利くじゃない」
「いや、これ私の……あ、はい。どうぞ」
無言で睨まれて仕方なく水を渡す。今日のトクラは虫の居所が悪いらしい。こういう時は黙って従うのが一番賢い方法だ。
「……で? どうして、あいつらに会った訳?」
ケイは今日、何してるだろう。昨日は夜中にメッセージを送り合っているうちに寝ちゃって、今朝おはようと送ったままだ。
「ちょっと、ハスミ。聞いてる?」
「え、うん。めっちゃ聞いてる」
言いながら携帯の画面を開く。
『おはよう。俺は今日もバイト。けど夕方には終わるから少しだけでも会えない?』
堪えても、堪えきれない。上がってしまう口角を。
「いいよ、っと」
思わずハートの絵文字を押していて、送信する前に思い悩み、最終的にビックリマークにした。