アウト*サイダー

 向かい側から盛大な溜め息が聞こえて、顔を上げる。

「あ、ごめん。それで、どうした?」

 取り繕う私に、トクラは笑って首を振った。

「ううん、別に。彼氏とはうまくいってる?」

「うまく……かどうかは分からないけど、それなりに、かな」

 喧嘩もしてないし、毎日じゃなくても連絡を取り合っているし。今日、やっと会えるし。

「トクラは? げ……じゃなくて、彼氏とどうなの?」

 危うく下僕と言いかけた。

「あぁ、別れた」

 ピシッ、と空気が凍る。あまりのショックにしゃっくりが出た。

「わ、わわ別れたってあんた……ついこの間のことだったのに……っ」

「うん。別れた。だって、可愛げがないって言うからムカついて」

 ガーン!!

 本人は大して気にした感じではない。でも、私としては聞き捨てならない言葉だ。

「そんな奴、ろくでもない女しか好きにならんのよ、どうせ! 今に後悔するね、トクラほどの女は他にいないんだから」

 むしゃむしゃポテトを貪りながら怒りに任せて喋る。トクラも手を伸ばしてポテトを口に運ぶ。

「男とか面倒だけど、一人だと寂しいしね」

 彼女から寂しいという言葉を初めて聞いた気がする。やっぱり、相当なショックを彼女も……

「エッチ出来なくなるから」

 ポテトが気管に入りかける。命の危機を感じるほど、周りの目も関係なく噎せまくった。
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