アウト*サイダー

 トラブル防止なのに、ちょっと困ってる?

「じゃあ、かけなきゃ良いんじゃないの?」

 ケイは再びTシャツの首の所に眼鏡を引っかけ、シャクシャクとアイスをかじっていく。

「それじゃ、面白くない」

 全くもって理解出来ない。困っても面白さを求めるなんて。

「ふーん? あ、私もケイの眼鏡姿見てみたい」

 興味本位で言ってみると、ケイは思いの外渋る。何が嫌なのか聞いてみても、似合わないからと言うだけ。

 絶対、格好いいと思うのに。

 アイスを食べ終え、足でブランコを揺らす。

「一瞬だけで良いから……」

 首を傾げて、ぶりっ子みたいに渾身の上目遣いまでした。

「だめ」

 チッ。愛嬌の無駄遣いしたじゃないか。ケチな男め。

「それより、俺と会えなくて寂しかった?」

 分かりやすく話をすり替えられた。そんなに嫌なら、もう良いや。

「はいはい、寂しかったですよー」

 投げやりな返事にケイが溜め息混じりに笑った。

「そっか、ごめん。寂しい思いさせて」

 ケイもアイスを食べきって、レジ袋にゴミを入れる。私の分も受け取って、ブランコから立ち上がるとゴミ箱へと捨てにいく。

 彼は謝ってくれたけど、実際はそんなに寂しくなかった。もちろん、こうやって顔を合わす方が断然良い。でも、今の世の中、携帯があれば連絡なんてすぐに出来る。
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