アウト*サイダー
私は、どちらかと言えば誰かと頻繁に連絡を取り合うタイプではない。
でも、夏休みに入って彼に会える時間が極端に減って、ふとした瞬間に顔が思い浮かんだ時、何でもいいからメッセージを送りたいと思うようになった。
返信を待つ間も、それを何度も確認するのも、ちょっと前の私なら煩わしかっただろうな。
「ハスミ」
戻ってきたケイが私の前に立ち止まる。
「ありがと、捨てに行ってくれて」
彼はニコニコしながら肩を竦める。
「……何?」
私を見下ろしたまま動かないから首を傾げると、ケイの手が下りてきて、あっという間に抱き締められていた。
上から覆い被さるような彼に一瞬戸惑うが、その背中に手を回す。ケイの腕に少し力が入って、ぎゅうっとされる。暑苦しいし、心臓がうるさいけど、私もぎゅうっとした。
「はぁ。やっぱり、ここが一番落ち着く」
顔をすりすりして、そんなことを言う。私が言おうとしてたのに。
「やっぱりって、他のを知ってるみたいな言い方じゃない?」
ちょっと意地悪したくなった。疑わしい表情をつくる。ケイは慌てて離れ「そうじゃなくて……っ」とたじろぐ。なかなか可愛いじゃないの。
「ふふ。ウソウソ、ごめんね」
ちょっと不貞腐れたケイが再び私を腕の中に閉じ込めて離さない。日が暮れても、私が怒るまで離さなかった。