アウト*サイダー
* 思いきり
夏。と言えば……そう、プールだ!
朝早くから電車に揺られ、駅について、近頃本気を出している蝉に大歓迎を受け、待ち合わせ場所に到着した。すぐに目当ての人を見つけて駆け寄る。
「ハルちゃん!」
「あ、ハスミちゃん! 行こう、すごい行列になってる」
ハルちゃんの言う通り、施設の前には長蛇の列が出来上がっていた。
海に行くには遠いし、車がないと不便だ。でも、せっかくの夏休み。それっぽいことをしたい……というわけで、思い付いたのがプール。
しかも、比較的近場で、駅からは徒歩五分。屋内プールだから日焼けを気にせず、温泉もあるから疲れた体を癒せる。
「まだ開いてないのにすごい人だね」
ハルちゃんと二人、列に並ぶ。家族連れもいるが、学生の方が多いようだ。
「今日は遊び尽くそう。それで温泉にゆっくり浸かろう」
スライダーや流れるプールに身を任せるのも楽しみだけど、私としては温泉が一番楽しみだ。
「そうだね! あ、でも、大丈夫だったの? 宮永君、だいぶ嫌がってたんでしょ」
待っている間に浮き輪を膨らまそうとしていた私にハルちゃんが尋ねた。ぺったんこの浮き輪を広げて空気入れを取り出す。手動だから大変だが、息で膨らませるよりかはマシだ。