アウト*サイダー

「彼氏サンとは会えてる?」

 茶化したつもりはないのだが、ハルちゃんの照れた様子を笑ったら「ハスミちゃんの意地悪」と怒られてしまった。

「堀江君はサッカー部のエースだし、マネージャーの内の一人には下心を隠し持った奴もいるから、ちょっと心配してるんだよ」

 潜めた声にハルちゃんが苦笑した。

「大丈夫だよ。確かに、毎日会える訳ではないけど、部活終わりとかに連絡くれて会ったり、あとね、練習試合に応援しに行ったりしたよ」

 河西さんを不安に思う余地もない程、二人は順調に仲を深めているようでキューピッド役を担った私としては安心だ。

「でも、もうじき夏期合宿が始まるらしくて……」

 少し暗くなった表情。顔を覗き込んだ私に、パッと明るく笑うハルちゃんが肩を竦めた。

「合宿の間は連絡も取れなくなるんだけど、三泊四日で、すぐ帰ってくるから全然平気!」

 分かりやすく嘘をつくハルちゃんの頬っぺたを人差し指で突っつく。

「まさか、堀江君にもそんな風に言ってないよね?」

 私の疑る目を、明後日の方向を見てかわそうとするハルちゃん。

「私もつくづく素直じゃないとは思うけど、意外とハルちゃんもそうだよね」

 ハルちゃんが平気と言って笑った時の、堀江君の固まった顔が目に浮かんだ。不憫な王子さまだ。
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