アウト*サイダー

「だって、私が寂しがって我が儘を堀江君にぶつけても迷惑なだけだろうし……うざがられるのも嫌なんだもの」

 シュン……と項垂れるハルちゃん。浮き輪の上で両腕を組んで、そこに頭を乗せる。その悩ましげな表情は、同性の私をも悩ませるくらい色っぽくてドキドキした。

「その可愛い顔で『行かないで』って言ってみ? 王子の爽やかスマイルが秒で剥がれ落ちるだろうから」

 クククっと笑う私に、ハルちゃんはからかわないでと頬を膨らませる。割と冗談ではないのに。

「そう言うハスミちゃんは?」

 反撃だとばかりに目を輝かせる彼女に、今度は私がたじろぐ。

「初デートの詳しい感想、まだ教えてもらってないよ?」

 ジリジリと迫り来るハルちゃん。私は「あー、ね。うん、まぁ……」と言葉を濁して、そのまま、バタ足して彼女から逃げた。

 水飛沫が上がる。ハルちゃんが天使みたいに笑って追いかけてくる。その内に、足を着けて走り出した私達。水の流れが追い風みたいになって加速させる。

 私も、ハルちゃんも、バカみたいに笑ってはしゃぐ。二人ともテンションがバカになっているんだ。

 恥ずかしいような気もするけれど、楽しいんだから仕方ない。楽しむしかない。楽しまなきゃ損だ。
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