アウト*サイダー
遊び疲れた私達は空腹を満たすべく、鉄板の上で焼きそばがジュウジュウ音をたてる売店の前に並ぶ。
お金を持ち運ばなくても入館時に渡されたリストバンドで色んなサービスが利用できて、退館する時に精算する仕組みになっているから、わざわざロッカールームまで財布を取りに行ったりする面倒がない。本当に便利になったものだ。
現代の進歩に感心していたら、ソースの香ばしい匂いが鼻腔をくすぐり、私のお腹が恋しそうな音で鳴いた。隣にいたハルちゃんには聞こえたみたいで、クスクスと笑われた。
「あ、ハスミンとハルルじゃない?」
突然、かけられた声に肩を驚かされる。振り返った先にいた人物に、思わず「うわぁ!」と声が出た。
「須賀さんと篠田さん! 二人も遊びに来てたんだ!!」
こんな偶然もあるものか。嬉しさで無いはずの尻尾が振れる気がする。何なのだろうね。学校で会うのと、外で会うのとで、気持ちが全然違うのは。
「ヤッホー! てか、スガっちゃんの考えるあだ名って、そこはかとなく残念だよねぇ」
ポニーテールにした巻き毛をいじりながら篠田さんが須賀さんを嘲笑う。須賀さんはいつもの如く、それを無視してハルちゃんの隣まで来ると、ごく自然とその肩を抱いていた。
不意打ち過ぎて固まるハルちゃん。私と篠田さんは黙って二人を見守る。多分、篠田さんと思ってることは同じだと思う。ついでに、奇行としか言えない行動をしてる須賀さんとも。