アウト*サイダー
夜の虫が鳴く道を私達は横並びで歩く。その隣を電車が走り去っていった。大きな音が虫の声をかき消した。
一日中遊んで疲れたはずだが、ゆっくりお湯に浸かり、サウナにも入って汗を流した後に冷たいコーヒー牛乳とジェラートを食べてスッキリしたから体は軽かった。
「あー、楽しかった!」
篠田さんが両手を上げて体を伸ばしながら言った。
「確かにね。また四人で集まろうよ。夏休みはまだあるんだし」
須賀さんは幾度か頷いて言うと「今度、バーゲンに行こうってシノと話してたんだけど二人も行かない?」篠田さんの肩に腕を乗せて首を傾げた。
温泉に入った時に初めて見たけれど、須賀さんと篠田さんのスッピンは、いつもの見慣れた顔よりも幼く見える。今も外灯に照らされた、並んだ二人の眉毛は半分から先が無い。
私も中学校に入学した日、トクラに眉毛をいじられて一部分だけ禿げてしまったから、親近感を感じてより一層、二人のことが好きになった。
私とハルちゃんが頷いたのは、ほぼ同時だった。
私の携帯が着信音を響かせたのは、その直後だった。
三人に断ってから鞄の奥の方に沈んでいた携帯を取り出す。その画面に表示されていた名前に一瞬、口元が緩んだのを彼女らは見逃してくれなかった。