アウト*サイダー
「すごく勿体ない事に幸運を使っちゃったね」
可愛くない口が可愛いくないことを吐き出す。
駅の前で私を待つ三人の姿。私は早歩きで駅に向かう。
『そうかな? 俺は、その所為で誰かの不幸をもらったとしてもハスミが隣に居てくれたら、それで良い。それだけで良い』
耳が熱いな。面と向かって恥ずかしい言葉をかけられるより、電話からの声がダイレクトに耳に入ってくる。
『ハスミに会いたい』
彼の低い声に息が上がる。
「……じゃあ、会いに来て」
私の声は僅かに震えていた。それが電話越しでも伝わったかは分からない。
『我が儘だね』
面白がる笑い声。ちょっと腹が立って、私は押し黙る。
『でも、そこが可愛い』
恥ずかしくて黙り続けるしかない。
『迎えに行くよ』
大概、彼は私に甘過ぎる。甘やかし過ぎていると思う。
「うん。待ってるね」
そして、私は彼に甘やかされたいと思っている。
『ご褒美は?』
それから……
「うーん……キス?」
『分かった。すぐ行く』
甘やかされた分、私も彼を甘やかしたいとも。