アウト*サイダー
それに、いつもするようなキスとは違う。ゆっくりと優しいものじゃなくて、全然余裕がない、苦しいキス。だけどやっぱりケイは優しくて、呼吸を求める私の為にキスを止めて待ってくれた。
「……っ、ケイ」
「うん?」
私を腕の中で閉じ込めるように抱き締めて、待つ間に鼻を擦り合わせたり、私の唇を舌で舐めたりする。くすぐったくて笑うと、彼も目尻を垂れて笑う。
「まだ足りない。もっと、しても良い?」
甘く微笑むケイに頷く。
彼が目を閉じて触れるだけのキスを落とす。私も軽く目を閉じる。髪を撫でる彼の手。それは下りてくると私の耳を覆った。ん? と疑問に思う間もなく、ケイの舌が私の唇を割って入ってきた。
ビックリして目を開けたら、彼の目と合う。口の中で舌が絡み合う音が、耳を塞がれたことで頭に大きく響く。そのあまりの恥ずかしさに涙が浮かぶ私に、ケイは恍惚とした表情を浮かべた。
息苦しくなってきて、彼の胸の辺りのシャツを握り締めた。それを合図に彼が私から離れる。口の中に溜まった唾液を飲み込むと、嬉しそうにケイが笑った。
「俺の唾も飲んじゃったね」
何の羞恥もなく平然と言うから怒るのも躊躇われる。無駄にドキドキしてるのを悟られないように「……そっちが、流し込んできたから」口を尖らせて言った。
「うん。ごめんね?」
息の荒い私の背中を擦って、人差し指で涙を掬う。
「ほんと、ごめん。ハスミ、俺を嫌いにならないで。俺はもうハスミ以外好きになれないから。ハスミも俺じゃない男を好きにならないで。俺じゃない男に、可愛い顔を見せないで」