アウト*サイダー
歯を噛み締めて抑えようとしても嗚咽が漏れてしまって、無様に泣く私の肩をケイは抱き寄せた。
「本当は、この話をハスミにしたくなかったんだ。男のくせに犯されたなんて格好つかないだろ」
私が首を横に振ると、彼の腕がきつく締まる。
「そう……? そうだね、俺の傷を分かってくれるのはハスミだけだと思う。ハスミの傷を分かってあげられるのも俺だけだ」
私は弱い。ケイも、その内側はすごく弱い。分かり合えるのはお互いだけ。甘い言葉に酔いしれていたとしても、互いに求めるのは同じ。
膝立ちをして彼の首に腕を巻き付ける。よく彼が私にしてくれるように頭を胸の所に埋めさせて、泣けない彼の分は私が泣く。
「俺としてはすごく嬉しい状況なのだけれどさ……ほら、泣き止まないと、俺がお義父さんとお義母さんに怒られそうだ」
一度目を閉じてぎゅっと私を抱き締めた後、ケイが顔を上げて私の腰に手をやる。その手で胡座をかいていた自分の足の上に私を座らせた。
でも、そんな都合よく泣き止むことは不可能で、結局私がケイの胸に顔を埋めて泣いた。彼は始終ニコニコと笑っていた。
「笑うな、バカっ」
最大限に睨んでも薄っぺらい笑みを浮かべて、私の涙だらけの頬に自分の頬をすりすりさせる。
「俺はハスミの泣き顔が何よりも好物なのだから、今貴重なこの瞬間を楽しまなくては」
チュッチュ、チュッチュと大人しくしてる人の顔に好き勝手キスをする変態野郎の顔を押しどけてやる。