アウト*サイダー

「んー、泣きながら照れるハスミ、最高」

 私の手から逃れたケイが、鎖骨辺りに唇を当て、舌を這わした。

 感じたことのない感触に短い悲鳴が口からついて出る。彼の肩に手を置いて距離をとり、顔を合わせる。彼は眉を下げて「怖い?」寂しそうに視線を落としていた。

「……うん。キスは、良いけど……そういうことは、まだ怖い」

 私の言葉に静かに頷いた彼が頭を撫でてくれた。

「でもね、ケイが怖いんじゃないよ。嫌な訳でもない。全部あげるって言ったの、嘘じゃないから。もらってくれるのなら、私の全部、ケイにあげたいと思ってる」

 すごく恥ずかしいことを言ってる自覚がありすぎて、クーラーの風なんかじゃ足りないくらい顔が熱い。

「うん。分かった。もちろん、ハスミの全て、俺だけのものだ。俺の全てがハスミだけのもののように」

 私を上回る恥ずかしい言葉を言うのは毎度のこと。その度に私の心臓を暴れさせるのも。

「そうだ、どこからがアウトでどこまでがセーフか、決めておいた方が良くないかな?」

 首を傾げる私。ケイは私の頬についた涙の跡をティッシュで綺麗に拭き取り、付けたままだったネクタイを外してくれた。そして、一旦私から離れて立ち上がるとベッドに腰掛けていた。
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