アウト*サイダー
我が物顔で右隣の空いたスペースをぽんぽん叩いて「こっち来て」と私を呼ぶ。私は一抹の不安を抱きながらも、言われた通り彼の隣に座った。
「怖くなったり、止めてほしい時は俺を打つなり蹴るなりしてくれていいからね」
笑いながら何を言ってるんだ。冷めた目で見つめ返す私に「そんなに見つめられると、照れるな」赤くなった頬を手で覆うケイの思考回路は、誰にも解析出来んだろうな。
「良い? これは真剣に言うからね。本当に嫌な時は言って。さっき話したけど、俺は多分普通じゃない。ハスミが思ってるよりも、多くを望んでるんだ。ハスミの思う全部と、俺が思う全部はきっと違う」
私の左手にケイの手が重なる。真っ直ぐ向けられる目。私は右手で彼の頬に触れ、前髪を後ろに流す。
「私の全部が足りてないなら、それを私が補えるようになりたい。今はまだケイに我慢させてしまうんだろうけど、頑張る。頑張りたい」
彼は私が髪に触れていた手を掴んで、その手の平に軽く触れるだけのキスをした。横目で私を見つめながら、もう一度それをする。
アウトかセーフか。もう始まっているらしい。
口を挟まない私に、OKだと見なした彼が、今度は指先にキスをし始めた。
少しくすぐったい。つい引っ込めてしまうと「ダメ?」ケイが尋ねた。私は首を横に振って「平気」とだけ返した。