アウト*サイダー
柔らかく微笑んだ彼。私の手をとって、自分の口の方へ引く。指一本一本に口付けていく。
ムズムズした感覚に手を引こうとするも、窘めるように鋭い目を向けられた瞬間、身体の奥底から熱い何かが沸き上がってきて戸惑う。繋いでいた左手に力が入る。
「大丈夫?」
いつの間にか息が上がって、私は頷くだけ。
「じゃあ、これもいけるかな?」
彼が唇で指先を挟む。すると、そのまま吸い付くように口内に私の指を含んでいた。
舌が絡み付き、蠢いて、湿った音がやけに響く。ケイの舌も息も熱くて、電流が走ったみたいにゾクゾクする。
……でも、嫌じゃない。
「ほんと可愛いね、ハスミ。こんな風に舐められるの初めてなんだ」
口から糸をひいて指を抜いた彼が、口の端に垂れた唾を拭う。私はもう頭が真っ白になっていた。
「キスは……良いんだもんね?」
ベッドに手をついて、傾けた顔が近付く。私は素直に目を閉じて彼を受け入れる。
ケイにはことごとく、私が守ってきた壁を破られた。誰かと付き合うなんて、ましてや、こうして自分の部屋に招き入れてこんなことしてるだなんて、ちょっと前なら絶対ありえない事だった。
確かに彼は普通じゃない。
普通じゃなくても、私はそんな彼を好きになった。
彼なら、嫌な事も忘れさせてくれる気がする。