アウト*サイダー
疑問が顔に出ていたのか、甘ったるいカラフルなクリームを次々口に運びながら須賀さんが言った。
「ほんと、マジ、イケメンっ……私、スガっちゃんと結婚するぅっ!!」
隣に座っていた彼女に抱きつく篠田さん。須賀さんが優しく慰め……ることはなく、舌打ちをする。
「この前の彼氏にも金パクられて揉めたのを尻拭いしてやって、そう言いながら、またすぐにろくでもない彼氏つくるの、いい加減止めろ」
尻拭いの料金としてなのか、篠田さんのほとんど手をつけていないケーキも食べ始めた。篠田さんは抱きついていて気付いていない。
「本気で心配したけど、思いの外、立ち直ってきてるみたいだね」
ハルちゃんが私に耳打ちする。確かに、平らげられた空のお皿に気付いた篠田さんが、須賀さんの口に手を突っ込んで「ケーキ返せ!」と喚いている辺り、浮気されて殴られてしまったショックからは立ち直ってきているのだろう。
だけど、何となくモヤモヤしたものが残る。
私がどうこうできる問題でもないし、支えてくれる須賀さんが居ればきっと篠田さんは笑っていられるし、これまでもそれで色々なことを乗り越えてきているんだ。
ただ、私の我が儘を言えば……
「辛い時はいつでも呼んでね。暗くなっても、泣いても良いから。話聞くから」
辛い時、支えてくれる数が多いだけでも助けになるはず。私はハルちゃんみたいに寄り添って励ましたり、須賀さんみたいに格好良く引っ張ることも出来ないけれど。
側に居たいと思ってるのだと、存分に泣いた後で一緒に笑い合いたいと思ってるのだと、知ってほしかった。