アウト*サイダー
人数分に分けられたプリクラを受け取っても、そこに私がいるとは到底思えなかった。別人でしかない。
「みんな、グループのとこに今の送っといたからねー」
言われて携帯を鞄から出すと、通知がきていた。篠田さんの名前と、他にもう一つ。ケイの名前があった。
『犬が来たよ』
「犬?」
たまーに、彼から意味不明なメッセージがくる。この間は『夏だね』と干されたTシャツに引っ付いた蝉の脱け殻写真が送られてきた。
虫に対してそんなに強い拒否感とかはないけど、好んで見たいものでもない。そこでちょっとした喧嘩にまで発展した。くだらなさすぎて最後、二人とも『もういいわ、寝る』で決着がついたのだが。
なんだかこれも、まともな用件には思えない。でも無視したら後で面倒くさいから、覚悟を決めてアプリを開いた。そこに写し出されたものに我が声を失った。
彼がくしゃっと笑った顔。それだけでも貴重なものだが、その隣には犬(コーギーだと思う)が居て、彼がその子を抱き締めている写真だった。
悶絶する私。
可愛い。可愛すぎて、私死にそう。いや、もう死んだ。何、何なの、どっちも可愛すぎかよ。可愛いの暴力だよ。十秒数える間もなくノックアウトだよ。
カンカンカン……!!
どこからか試合終了のゴングが鳴っている気がした。
「ハスミン、どした?」