アウト*サイダー
振り返った私のにやけ顔は、激写されていたら一生残る黒歴史になっていただろう。
訝しげな三人に写真を見せようとして、ふと我に返る。
こんなに笑った彼はものすごく貴重だ。それも国宝級に。普段は見れても、写真になった途端、ケイの顔から表情が消えていく。つまりこれはレアショット。大金を積まれても手放してはいけないものだ。
「ウウン、ナンデモ、ナイ」
ガチガチに固まった表情筋。スッと携帯を鞄に仕舞う。
「あっ! 今なんか隠した!!」
「見せな、ハスミン」
「ハスミちゃん? 隠し事なんていけないんだよ」
最後の御方だけ声や雰囲気が氷点下の温度なのは気のせいだよね?
「は、ハルちゃん?」
須賀さんに施された化粧で、より可愛らしく愛くるしいハルちゃんになっているのに、その笑顔は、夏場に特集組みがちなホラー映像よりも場を凍らせる威力がある。
「ね、ハスミちゃん」
今、ここで従わなかったら殺られる。本能がそれを察した。
「ケイ……から、写真、送られてきて……」
三人が一様に不思議そうな顔をする。私は熱くなっていく顔を冷ますように髪を上げて、わざとがさつに頭を掻く。
「そのケイが可愛すぎて、誰にも見せたくなかったの。だって、私だけのものだから」
言った瞬間に“カシャ”という音がした。何事かと前を向いた私を見つめる三人は満面の笑みを浮かべていた。