アウト*サイダー
「このハスミン、めっちゃ可愛いよね」
「普段見せない女の顔って感じ? ハスミンの彼氏はこんな顔をいつも見せてもらってるんだろうなぁ。羨ましぃーなー」
帰りのバスで、後ろから聞こえる声を聞かないようにしてハルちゃんの腕にしがみつく。
「ハスミちゃん、そんな恥ずかしがることないよ。本当に可愛かったから」
ハルちゃんまで!?
もう私の味方はいないのか。
西日が射す窓の方に寄りかかる。眩しくて目も開けられないぜ。
そうして暫く続いたからかいは、須賀さんの言葉で終わりを迎えた。
「て言うかさ、ハスミンもハルルもその濃い化粧落とせるクレンジングとか持ってんの?」
クレンジング、なら持ってるけど。お母さんが。
「薬局で買うよ」
後ろを向いて言ったハルちゃんに、私も何となく合わせて頷く。
「うーん、ウォータープルーフのやつ使ってるし、物によっては落としにくかったりすると思う。私らが使ってるの貸すし、良かったらこのままお泊まり会しようよ!」
もう篠田さんの中では決定事項のようにはしゃいでいる。それを「居候のくせに我が家のように二人を招くな」須賀さんが溜め息混じりに叱る。
私とハルちゃんは顔を見合って、笑いながら肩を竦めた。